バイク乗りの概念を壊す乗り物DCT・X-ADVを2年乗ってみた結果

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突然ですが、DCTのバイクって見たことありますか?

DCTの代表的なバイクは、HONDAのX-ADVというバイクですが、見たことはありますか?ある程度色々なバイクを調べてたりされている方ですと、あースクーターみたいなバイクでしょっていう反応が一番多いです。

他には、「興味はあって乗り換えの候補にはしていたよ」とか、「ポジションが楽そうだね」というコメントも多いです。今回はそんなX-ADVについて、DCTの運転で感じたことや、気になる点、ポイントなどを書いていきたいと思います。気になるX-ADVのクルーズコントロールについても触れていきます。

この記事のターゲットとしている方は以下のような方になります。

  • HONDA DCTに興味・関心のある方
  • HONDA X-ADVに興味・関心のある方
  • リッター未満クラスのツアラーバイクをお探しの方
  • 大型免許取得後、間もない方
  • バイク歴でしばらくブランクがある方
  • 大型AT二輪免許を新たに取得された・取得する方
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    私がX-ADVに乗り始めた経緯

    はじめに、私がX-ADVに乗り始めた経緯を少し書きたいと思います。大型バイクの免許を取得後、大型バイクを数台乗り継ぎ、その後事情があって、10年以上乗らない時期がありました。それから、また少し時間的気持ち的余裕が出てきたのと、休日に気軽に気分転換したいなと思うようになりました。

    そこで、せっかく大型二輪の免許があるのだから、またバイクに乗ろうと思い、バイクを色々探して始めました。バイクにも色々な種類があります。教習所などでもっとも一般的なネイキッド、ハンドルをひねれば難しい操作は不要なスクーター。とにかく速さに重点を置いたスーパースポーツ、とにかく遠くまで、早く快適に移動できるように考えられたアドベンチャーなどなど。

    これらの中で、私に合ったジャンルのバイクが、アドベンチャーバイクでした。大型スクリーンがあって、シートには垂直に腰掛けられる運転姿勢、高速でのロングツーリングも可能という点で、ニーズにベストマッチしたバイクです。

    アドベンチャーバイクの中で色々なメーカーと車種を比較し始めました。高速移動はしたいが、ブランクがあるので、大きすぎるバイクは少し乗るのに勇気がいりました。さらにクラッチ操作についてもいざ乗ろうとした時に、問題なく操作ができるかが心配でした。

    そこで、X-ADVが750ccクラスであり、コントロールしやすそうな馬力だったのと、なによりDCTとやらを搭載していて、クラッチ操作が不要ということに惹かれて、選んだという経緯になります。

    DCTについて

    ここからは、DCTについて、リアルに良いところ、乗っているからわかったイマイチなところについて、書いていきたいと思います。

    X-ADVのDCTはとても楽に乗れる

    DCTの良いところ一番は、とても楽に走れる点です。スクーターとは違って、無段階変速ではなくて、スピードや負荷に応じて自動で、シフトアップ・ダウンをしてくれます。

    さらに、シフトダウン時は、ちょうど良い具合に回転数を合わせてくれますので、まるで運転の上手い人間が、シフトダウンをしてくれているような感覚になります。シフトアップ、ダウン共に変速ショックも僅かですので、全然違和感がありません。

    1速から2速、2速から1速の際に、少しシフト音とわずかな振動がありますが、それ以外のギアでのシフト変更時は、ほぼ音もショックもないので、実際にはタコメータやシフトの表示モニタを見て変速されたことが分かる程度のスムーズ感です。

    スマートキー方式でダイアルを回してスタートボタンを押すだけ

    X-ADVはスマートキーを採用しています。エンジンスタート時や、ハンドルロック時などわざわざキーを取り出して操作する必要はありません。昔、通常のキーシリンダータイプの中古バイクに乗っていて、鍵穴がかなり劣化していたようで、鍵穴にキーをさし込んだのですが回らず、上部に押し込んでやって、ようやく回りました。

    最悪キーが回らないと、エンジンが始動できないので、かなり焦った経験があります。また、知り合いの方は、キーを鍵穴にさして逆方向にひねったため、キーが折れてしまったというケースもありました。簡単には折れないキーですが、劣化している場合は起こりえるのかもしれません。

    スマートキーは、鍵を持ってさえいれば、ひと通りの操作ができるので、とても便利です。

    スマートキーの仕組みの画像
    スマートキー近くにないとダイヤルが回らない。

    X-ADVは走行中のエンストの心配が全くない

    走行中のエンストは回転数が低すぎたり、クラッチワークによって起こることが多いと思います。その点X-ADVのようなDCTでは、速度が落ちたり、急なブレーキ操作をしたとしても、エンストしたことは一度もありません。ニュートラルからドライブにして、停車時もアイドリングを続けていて、そこからアクセルを捻れば走り出します。

    エンストしない安心感の恩恵は、悪路や坂道のカーブなどで速度を落とす必要がある時は特に感じます。シフトチェンジは機械が的確に行うので、加速や減速、ハンドル操作に集中すればよいだけです。同時人が処理することが減るので、安心してハンドル操作に集中できます。

    燃費が伸びる

    人間の操作に比べて、X-ADVのDCTは必ずプログラムで決められた回転数と速度で正確にシフトチェンジをします。したがって、通常の走行モードであれば、低回転寄りで効率良く走ることができます。

    急な登り坂など、燃費や乗り心地よりパワーやエンジンブレーキが欲しい場合や、シフトの操作が早く、低すぎてパワー不足気味の場合は、モードを切り替えれば、ある程度高回転まで引っ張っていってくれるような特性に変更することができます。

    マニュアルでのシフトチェンジも可能

    ここまで、自動的なシフトチェンジを中心に記載しましたが、車のパドルシフトのように、走行中シフトアップ、ダウンのボタンを押すだけで、シフトアップ、ダウンが行われます。

    DCTのシフトアップのボタン
    「+」ボタンがシフトアップボタン。

    もちろん、無理な速度域や回転数でシフト変更しようとした場合、ボタンを押してもシフトチェンジはできません。マニュアルモードでも、速度が低下すれば、自動的にシフトダウンしてくれます。走っていて急停車をしたのちにすぐ走り出す場合は、気が付けば1速に入っています。

    オートマモードでも、シフトアップ・ダウンのボタン操作により、シフト操作は可能です。特に使いやすいのが下り坂などで、エンジンブレーキを使いたい場合は、シフトダウンしてあげることでエンジンブレーキがかかります。

    DCTのシフトダウンボタンの画像
    シフトダウン用の「ー」ボタン。

    このように手元だけで簡単に操作できてしまうのは本当に楽です。

    DCTゆえにクラッチのような繊細なアクセルワークが難しい

    DCTのメリットとしてのアクセルをひねってやれば、自動的にシフトチェンジしてくれるのですが、クラッチワークがないので、クラッチを繋げたり離したりして進むノロノロ運転ができず、アクセルとブレーキのみで調整する必要があります。

    DCTの場合、アクセルを開けながら、進みすぎないようにブレーキで抑え込むような操作をします。ブレーキを使用する頻度が高くなるのもX-ADVのDCTの特徴です。

    ドライブチェーンが伸びやすい

    これはメンテナンスの方からお聞きしたのですが、DCTはクラッチがない分、シフト時の負荷がドライブチェーンに強めにかかりますので、通常のバイクより、ドライブチェーンが伸びやすいということです。

    実際にロングツーリングを何回かするだけですぐ伸びます。ドライブチェーンの伸びは、以前乗っていたバイクではそれほど気にならなかったのですが、DCTの場合は、明らかに快適度が落ちて、特に低速時はギクシャクした動きになりますので、こまめなチェーン調整が必須です。

    ちょっと高くなってもよいので、この辺はシャフトドライブとかになると、DCTのダイレクトな駆動がより活かせるのではないかと勝手に想像しています。いろいろDCTについて書いてきましたが、総評すると、とにかく便利で楽な機構なので、ぜひ多くの方に体感していただきたいです。

    X-ADVについて

    ここまで、DCTに関して書いてきましたが、ここからはX-ADVというバイク自体について、書いていきたいと思います。

    X-ADVはバイク熱がそれほど苦にならない

    真夏に走っていても、股下から灼熱のエンジン熱が伝わってくるということはなく、それほど熱は気になりません。車体がフルカウルで包まれていますので、それほどシートや足元に熱が伝わってくることはないと思います。

    燃料タンクの蓋は、カウルの下にあるので、ロングツーリング後で蓋に触ると夏は熱すぎて素手で触れないくらい熱くなります。ちなみにガソリンは、レギュラーガソリンを使用します。

    X-ADVはスクリーンを一番上にして音楽が余裕で聴ける

    スクリーンを上げた状態の画像
    スクリーンを一番上に上げた状態。

    X-ADVは大きめのスクリーンを搭載していますので、一番上にしてしまえば高速道路でも、音楽が余裕で聴けるくらい、防風効果があります。この点はロングツーリングで体にかかる風圧が減るのでとても快適です。

    基本一番上で、下げて走ったことがほぼないくらいシールド最上位が快適です。唯一スクリーンを下げるのは、動画を撮影する時と、真夏で熱くて風に当たりながら走りたい場合は、下げますが、それでも大半は最上位に高くしたまま走っています。

    スクリーンを下げた状態の画像
    スクリーンを一番下まで下げた状態。

    X-ADVは荷物が多少多くても積み込めるスペースがある

    シート下にヘルメットが1つ入るくらいの余裕があります。さらにリアキャリヤやパニアケースを搭載すれば、泊りがけでの旅行やキャンプなども余裕でしょう。

    幅の広いシートなので、荷物をツーリングネットで括り付けても安定して走れます。

    X-ADVは排気量と比較して重量が重い

    フルカウルゆえに、X-ADVは重いバイクです。地面が砂利道だったりすると、押しても引いてもバイクが移動できません。

    特に、バック時に小さな段差があるとバイクにまたがった状態ではほぼ、乗り越えられないので、駐車時は傾斜や段差にも気を付けましょう。

    X-ADVは車幅が広く、足つきがよくない

    普通に乗って走っているときはシートが広く、前後にも余裕があるので、疲れないのですが、とっさに足を着ける時や、パーキングから出る時など、足でこいで前後に移動したい場合は車幅が広いので、とても気を使います。

    X-ADVのシートの画像
    足つきはあまり良くない。

    X-ADVはニーグリップできない・やりにくい

    バイクの形状ゆえに仕方がないのですが、教習所でならったようなニーグリップで下半身を安定させるような基本の乗り方はできません。

    コーナーリング時はある程度のハンドルさばきと、身体をつかって重心移動でカーブに沿って曲がっていくような乗り方をしています。

    X-ADVにではニーグリップできない画像
    膝の部分にタンクがない。

    X-ADVはDCTで楽に運転できるのにクルーズコントロールがない

    クルーズコントロールがあれば言うことなしの最強らくちんバイクなのですが、残念ながらクルーズコントロールが非搭載です。高速道路での走行がメインの私的には、クルーズコントロールはぜひついててほしかった機能です。

    2019年以降の年式であれば、将来的には搭載されるかもしれませんが、シフト変更が自動変速のDCTにアダプティブクルーズコントロールがもしついたら、目的地まで半自動で連れて行ってくれるような感覚になりそうですね。

  • X-ADVのDCTはとても楽に乗れる
  • 低速から高速域までエンストの心配が不要
  • DCTが最適なシフトチェンジを行うので燃費が伸びる
  • パドルシフトのようなマニュアルモードでもシフト操作が可能
  • スマートキーもいちいち鍵の出し入れが不要でなくす心配なし
  • クラッチレバーを併用した繊細なアクセルワークができない
  • DCTはドライブチェーンが伸びやすい傾向
  • X-ADVは幅広で足つきが良くない・また750ccの割には重い
  • クルーズコントロールはなし・今後に期待
  • ここまで、いろいろ書いてきましたが、X-ADVは他にはない、とても楽しいバイクです。

    食わず嫌いにならず、機会があればぜひ乗ってみてください。次乗るのはアフリカツインかな^^

    X-ADVのエキゾーストサウンド(ノーマルマフラー)
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