普段乗っているバイクの日常点検・メンテナンスは行っていますか?
バイクは多くのライダーにとって、単なる移動手段を超えた大切な相棒です。その楽しさを最大限に味わうためには、愛車を良好な状態に保つことが重要です。しかし、メンテナンスを怠れば、パフォーマンスが低下し、最悪の場合には事故につながるリスクもあります。
この記事では、初心者でも簡単に行える基本的なバイクメンテナンスの方法や注意点について解説します。また、作業を効率的に進めるためのおすすめ製品もご紹介します。ぜひ参考にして、安全で快適なバイクライフを楽しみましょう。
バイクメンテナンスの重要性
1.安全性の向上
バイクは高速走行することが多いため、タイヤの溝やゴムの状態や、ブレーキの効き具合が直接安全に影響します。例えば、タイヤの空気圧が低下していると、コーナリングでの旋回性能が悪化したり。安定性が失われる可能性があります。
2.パフォーマンスの低下
エンジンオイルやチェーンが適切に管理されていれば、エンジンのパフォーマンスが維持され、スムーズな走行が可能になります。バイクの性能を最大限引き出すためにも、定期的なメンテナンスは欠かせません。
3.経済的ナメリット
定期的なオイル交換などの整備を怠ると、部品の摩耗が早まり、交換や修理の頻度が増えてしまいます。また、バッテリーが弱くなっている状態で走行時、移動先でエンジンが始動しないといった予期しないトラブルなどで、レッカーなどを呼ぶと予想しないお金がかかることになります。適切なメンテナンスを行うことで、大きな出費を防ぎ、長期的に見ると経済的です。
自分でできる基本整備5選
1.タイヤの点検と空気圧の確認
タイヤの状態は、安全なライディングに直結します。
タイヤの溝の深さや異物の有無、空気圧を定期的にチェックしましょう。空気圧が適正でないと、ハンドリングが不安定になり、燃費も悪化します。
タイヤのチェック方法
空気圧をチェックするためにはタイヤゲージを使います。タイヤゲージはアナログやデジタルの物など、様々な物がありますが、基本的にはタイヤゲージのノズルの先をタイヤの空気注入口に圧着することで簡単にタイヤの空気圧を確認することができます。日頃日常的に使う物になるので、電池など余計な動力がなくても空気圧が測定できるタイプの方が便利です。
バイクによって、前後のタイヤの指定空気圧は異なります。指定空気圧はバイクの取扱説明書に記載があります。納車時に店舗スタッフから空気圧について説明を受けると思いますが、念の為取扱説明書でも確認をするようにしましょう。
タイヤゲージを使ってメーカー指定の空気圧が入っているかを前後のタイヤそれぞれ確認をします。不足している場合は、ガソリンスタンドなどに設置されているエア注入機を使って空気を注入しましょう。
エア注入機にもゲージがついているので、わざわざエアゲージを買って持っておく必要はないという意見もあると思います。私も実は最近まで持っていませんでした。しかし、真夏など駐車場からガソリンスタンドまで車を走らせると、元々の空気圧から変わってしまって正常な空気圧を測ることができませんでした。
タイヤのエアー注入時の注意点
タイヤにエアーを注入時は規定の空気圧をしっかり確認をして入れるようにしましょう。高速道路を利用する頻度が高い場合は少し多めに入れても良いという話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。確かに高速走行時はエアーを多めに入れた方がタイヤの転がりやすさが向上するためメリットかもしれません。しかし一方で、ブレーキ時の車の止まりやすさが低下する原因にもなります。新東名高速道路など混雑しにくい道路で100km以上の速度を長距離走り続けるような場合はメリットが大きいかもしれませんが、混雑している高速道路や渋滞が発生した場合を考慮すると、規定のエアーを入れる以外の選択肢はなさそうです。
逆にエアーが足らない場合、バイクの場合は特にタイヤの変摩耗が起こりやすく、コーナーリングやバイクの乗り心地に影響してしまうので、車以上にエアーの量は気にするようにしてください。
2.エンジンオイルの確認・交換
エンジンオイルは、バイクの動力を支える重要な要素です。オイルの劣化を放置すると、エンジン内部の摩耗が進み、最終的にはエンジンの故障に繋がります。バイクの寿命に直結しますので、特にオイルの劣化やオイル量についてはチェックするようにしてください。バイクによってはエンジンオイルが減りやすいモデルもあります。
エンジンオイルの量・汚れの確認
バイクのエンジンにはエンジンオイルの状態を確認できる機構が備わっていると思います。詳しくは乗っているバイクの説明書してください。日常的にエンジンオイルの量が適切か、エンジンオイルが汚れていないかを確認します。オイル量が減ってくるとエンジン内部の摩耗に繋がりますので、早い段階でオイルを補充してください。きれいなオイルの状態は、高い透明度がありますが、汚れてくると透明度が薄れて濃い茶色、黒色になってきますので、きれいなオイルの状態を最初に確認しておき、汚れ具合を確認します。
エンジンオイルの交換の目安
バイクや使用するエンジンオイルによっても異なりますが、一般的には交換後1年または、5000km~1万kmを走行毎になります。もちろん、交換サイクルが早い分には全く問題ありません。エンジンオイルが劣化しやすい利用方法や環境にも関係します。都心部や短距離のストップ・ゴーを繰り返したりすると、汚れやすいと言われています。
エンジンオイルを交換する手順
エンジンオイルの交換は比較的自分でもできる内容になります。また、自分で行った方が交換手数料もかかりません。ただし、汚れやすいという点と、廃油の処理を自分で行う必要がありますので、メリデメを考えて、私はバイク屋さんにお願いしています。
- エンジンオイルを数分間暖め、オイルを柔らかくしておく
- ドレンボルトを外して古いオイルを排出する
- 新しいオイルを規定量注入する
- 排出したオイルの廃油は、必ず専門業者や自治体指定の方法で処理する
エンジンオイルは純正か・社外品か
国産海外メーカーのバイクを問わず、バイクの説明書を見ると自社純正オイルの使用を推奨していると思います。エンジンオイルには粘度があり、これが指定より極端に外れていなれば、結論純正オイルではなくても使用可能です。
ただし、ハイオク指定の高出力バイクの場合、メーカー指定のエンジンオイルによってパフォーマンスが発揮できるバイクがあるのも事実です。もし社外製品を選ぶ場合は、エンジンオイルの値段だけで判断せず、エンジンオイルとバイクの特性を理解したうえで選ぶ必要があります。
3.バイクチェーンの掃除・注油
バイクチェーンはバイクの動力を後輪に伝える重要なパーツです。汚れやサビがつくと動力のロスが増え、バイクのパフォーマンスが低下します。定期的にバイクチェーンの状態を確認するようにしましょう。また、バイクチェーンは走っていると徐々に伸びてきます。バイクチェーンの張り具合がどれくらいあるかも同時に確認をするようにしましょう。張りが緩みすぎていると最悪走行時にチェーンが外れてしまいます。
バイクチェーンの掃除手順
- チェーンクリーナーをスプレーし、ブラシで汚れを除去する
- 汚れを落としたら余計なクリーナーをウエス等で拭き取り乾燥させる
- チェーンルブを全体になじむように塗布する(注油)
- ウエスで余計なチェーンルブを拭き取る
汚れ除去、注油はそれぞれバイクの後輪を持ち上げてタイヤを回しながら行うと便利です。間違ってもエンジンをかけたままアイドリング状態で作業をすることはやめてください。重大事故・ケガにつながります。チェーンルブはチェーンの隙間に少量吹きます。油量が多いと走った時に足回りがオイルまみれになります。
4.ブレーキの点検
バイクのブレーキは安全運転の要です。ブレーキパッドが摩耗していると制動距離が長くなり、大変危険です。また、ブレーキフルードが不足している場合も、効きが悪くなります。
ブレーキの点検ポイント
- ブレーキパッドの厚みを確認する(特に2mm以下の場合交換が必要)
- ブレーキフルードの量と色を確認
- 走行時にブレーキをかけたときに鳴きがないか(鳴きがあればパッドが摩耗している可能性あり)
- 前後のブレーキをかけた時にブレーキランプが正常に点灯するか
ブレーキランプの点灯は走行前に必ず行っています。また、ブレーキ関連の整備を行う場合、不具合が事故に直結する部分になりますので、点検以外は整備技術を持った方に依頼をしてください。
5.電装系の確認
電装系は近年のバイクの場合、特に重要度が増しています。というのも車と同様に、バイクも電子制御のパーツや機構が多く搭載されており、最悪の場合、バイクが動かない状態に至るからです。特にツーリング先で電装系のトラブルがあったりするとお手上げ状態です。そうならないために、日ごろからチェックをしておくようにしましょう。要となるのはバッテリーの劣化です。
電装系の点検方法
- エンジンを始動時にセルが元気に回るかどうか
- ウィンカーやブレーキランプを点灯時にヘッドライトが暗くならないか(暗くなる場合電圧低下)
- マルチメーターをつかってバッテリーの電圧を測定する(正常値はエンジン停止時12V以上)
- バッテリーの接続部分にサビや汚れがないか
6.バイクメンテナンス時の注意点
作業環境の整備
バイクメンテナンスを行う場合は、平坦で広いスペースを確保し、必要な工具はあらかじめ用意をしておきましょう。特にオイル量を確認する場合、平坦でないと適切な量を確認することができません。また不安定な状態では作業中、バイクが倒れる心配もあるため、安定した状態で行います。
正しい工具を使う
適切な工具を使用しないと、パーツを傷つけたり、作業効率が低下します。ネジには指定トルクが決まっているパーツが多いので、必ずトルクレンチは重要になります。
メンテナンスは無理をしないでプロを頼る
問題ないかの日常的な点検は自分で行えますが、自分で対処するのが難しいと感じた場合には、無理をせず作業をしないで整備工場や整備資格を有する人に頼みましょう。
プロに依頼すべき整備作業
以下の整備作業は専門的な知識が必要になるため、信頼できる整備工場や整備士に依頼することをお勧めします。
- エンジン内部や動力周りの修理
- ブレーキ関連のパーツ交換
- サスペンションの調整
- ECU(エンジン制御ユニット)の設定
バイクメンテナンス入門:まとめ
バイクのメンテナンスは、愛車を長く安全に乗り続けるための基本です。自分でできる整備をマスターすることで、より深く愛車を理解し、快適なライディングを楽しむことができます。この記事を参考に、まずは簡単な整備から始めてみましょう。そして必要に応じてプロの力を借りることで、万全な状態を維持できます。安全で快適なバイクライフを送るために、ぜひ定期的なメンテナンスを心がけてください。