バイクツーリングは、風を感じながら自由に旅を楽しむことができる魅力的な趣味です。しかし、バイクに乗り始めて間もなかったり、初めてバイクツーリングに行くような初心者にとっては、不安や疑問も多いことでしょう。
本記事では、バイクツーリングを始めたいと考えている方に向けて、必要な準備や注意点、そしておすすめのツーリングスポットなどを詳しく解説します。これからツーリングを始める方はもちろん、既に経験のある方にも役立つ情報を提供します。
1.バイクツーリングの魅力とは
1-1.自由な旅の楽しさ
バイクツーリングの最大の魅力は、なんといっても自由度の高さにあります。自分のペースで好きな場所へ行き、風景や季節の変化を肌で感じることができます。車とは異なり、狭い道や自然の中にも入り込めるため、未知の場所を探検する楽しさがあります。
1-2.仲間との絆を深める
ツーリングは、仲間と一緒に行うことでさらに楽しさが増します。共通の趣味を持つ仲間と一緒に旅をすることで、絆が深まり、思い出に残る時間を共有できます。
1-3.ストレス解消とリフレッシュ
日常の喧騒から離れ、自然の中を走ることで、心身ともにリフレッシュできます。バイクに乗ることで集中力が高まり、日常のストレスを忘れることができるでしょう。
2.ツーリングを始めるための基本準備
2-1.バイクの選び方
基本的にはどんなバイクであってもツーリングは可能です。普段乗っているバイクで準備を進めましょう。ただし、まだバイクを所有しておらずツーリングに適したバイクを選びたいと考えている方は、以下の点を考慮して選ぶとよいでしょう。
ツーリングに適した取り回ししやすいバイクの排気量
ツーリングに適したバイクの排気量として、250cc~400ccクラスの中型バイクは、取り回しがしやすく初心者におすすめです。このクラスのバイクであれば、高速道路を走る事も可能ですし、上り坂でも難なく走ることができます。
250ccの排気量を下回るバイクでもツーリングは可能ですが、あまりお勧めはしません。なぜならば、バイクの出力が大きくないために、アクセルを大きく開き続ける必要がありますが、100kmを超えるような中・長距離のツーリングの場合、手が痛くなったり、バイクの振動もダイレクトに伝わってくるため、疲労感が感じやすくなるためです。
排気量が大きくなるほど、少しアクセルを開いただけでバイクが簡単に進んでくれますので、排気量が大きい方が楽ですが、その分、繊細なブレーキ&アクセルワークが必要になりますので、結論としては、250cc~400ccか、または大型自動二輪免許を取得想定であれば、600ccくらいあるとパワーと取り回しの良いとこどりができるので、楽に楽しく走れるでしょう。
ツーリングに適したバイクの車種
次は、ツーリングに適したバイクの車種についてです。基本的にどのようなバイクでもツーリングは可能ですし、ツーリングができない車種というのはありません。街乗り程度の距離を走るのであれば問題ありませんが、一日で数十キロから100キロ程度走る様になると、バイクに応じて良し悪しが決まります。
ツーリング向きのバイクのタイプは下記の3つになります。
スタンダードなネイキッド
バイク教習でも馴染みのあるネイキッドバイクは初心者でも乗りやすく、ベテランライダーでも十分に楽しめる高い操作性、癖の少ない走りやすさが人気のバイクです。
ネイキッドの扱いやすさはカーブや直線走行、高速走行でも安定して走る事ができるので、ツーリングに適しているバイクといえます。
ライディングポジションが長距離向きなアメリカン
アメリカンの上体が起き上がったライディングポジションは、特に高速道路を使った中距離の移動はとても楽に走る事ができます。一方で急なカーブや峠道などの場合、車格の大きさからバイクの取り回しが難しくなるケースもあるので、ある程度慣れが必要かもしれません。
また、バイクの特性上、バイクの燃料タンクの容量が多くないということもあるため、他のバイクと比較すると、こまめな給油が必要になる場合があります。
ツーリングといえばツアラー・スポーツツアラー
ツアラー・スポーツツアラーと呼ばれるバイクは、名前の通りツーリングに特化したバイクになります。そのため、中・長距離のツーリングでも身体に負担をかけず、楽に走行することができます。車格はその分少し大きくなりますので、中型以上、大型バイクが主です。
スポーツツアラーは、ツアラーにスポーツの特性を持っているバイクで、より高速走行や、コーナーリングのしやすさが向上したモデルです。ネイキッドと比べて前傾姿勢で乗る形になるバイクもありますが、乗ってみると比較的楽に、走行風対策もされており、疲れにくい特性があります。
ツーリングに適したバイクのシート高
足つきの良さは、バイク走行の安全性に直結します。あまりにもシート高が自分の体格に合っていない場合、立ちごけやバイクの取り回しの悪さに影響しますので、選ぶ時には実際に跨ってみることをお勧めします。判断が難しい場合、バイク屋さんに利用用途などを話して意見をうかがうのも手です。
最近のバイクはシートだけをより低くできるローシート化や、バイクの車高調整機能がある車種もあります。これらを上手く組み合わせながら、自分の体格に合わせて、バイクを選ぶようにしましょう。
2-2.必要な装備品
安全で快適なツーリングのためには、適切な装備が欠かせません。以下に必須の装備品をあげます。
- ヘルメット:安全基準を満たしているジェットタイプかフルフェイスを選びます。高速道路を走る場合はできればフルフェイスを選択しましょう。安全性も高まりますし、高速走行時の快適性も高まります。
- プロテクター付きジャケット:万一転倒した時の衝撃を和らげるため、プロテクターが内蔵されたものが望ましいです。運転に自信があったとしても半袖や薄手の服装で乗るのは非常に危険です。
- グローブ:手の保護、操作性の向上、防寒、疲労軽減といった複数の理由があります。バイク専用のしっかりした作りのものを選ぶようにしましょう。グローブにもサイズがあり、製品によってサイズ感が異なるため、お店で実際に手にはめて選んだ方が確実です。
- ブーツ:くるぶしまで覆うライディングブーツが安全です。ブーツの役割としては、変速時の足の負担軽減、万一の時の足の保護、エンジン周りからの熱を防ぐといった意味があります。ブーツを選ぶ際はグローブと同様に、実際に履いてみて、足にフィットするかを確認しましょう。
- レインウェア:特に山付近や、ロングツーリングをする際には、天気が急に変わることもあるため、万一に備えてレインウェアを準備しておきます。雨が降った時にレインウェアが無いと、身体が濡れたままで走る事になり、急激に体温を奪っていく形になります。寒くなると思うようなバイク操作がしにくくなるため、非常に危険です。
2-3.ツーリング前のバイクのメンテナンス
ツーリング前には、バイクの点検とメンテナンスが必要です。特に以下の項目をチェックしましょう。
- タイヤの空気圧と溝の深さ:適切な空気圧と十分な溝があるかを確認します。特にスリップサインが出ている状態での雨天走行は大変危険です。無理をせずにタイヤ交換を優先しましょう。
- ブレーキ:ブレーキパッド、ブレーキフルードの量をチェックします。
- エンジンオイル:エンジンオイルの量、汚れを確認します。バイクの特性上、エンジンオイルが減りやすいバイクもあります。減っているとエンジンにダメージを与える為確認しましょう。
- ライト類:ヘッドライト、ブレーキライト、ウィンカー、ハザードが正常に作動するか確認します。自動車以上にライトの不具合は深刻な事故を起こす可能性もあるため、確認しましょう。
3.ツーリング計画の立て方
3-1.目的地の選定
初心者は、無理のない距離と難易度のコースを選ぶことが大切です。以下の点を考慮して目的地を決めましょう。
- 距離:初めは日帰りで往復100km~200kmのコースがおすすめです。走るペースをつかんできたら、少しずつ距離を伸ばしていくと、中・長距離へのツーリングもできるようになります。
- 道路状況:初めは高速道路や幹線道路を中心に、直線の多い走りやすい道路を選ぶようにします。県道は信号機も多く、バイク操作が頻繁になる分、疲れやすくなります。峠道などもカーブやバイクの取り回しに慣れてから走ると楽しく走る事ができます。
- 観光スポット:途中に立ち寄れる観光地や休憩スポットをうまく取り入れながら、こまめに休憩をとりながら走ると、楽しみも増えます。
3-2.ツーリングルートの確認
事前に地図やナビでルートを確認し、以下の点に注意をして計画を立てましょう。
- 休憩ポイント:長く走っても1~2時間ごとに停車して、休憩をとれる場所を設定しましょう。高速の場合はSA・PA、一般道の場合はコンビニや道の駅などが休みやすいスポットです。
- 給油スポット:ツーリングルート上のガソリンスタンドはあらかじめチェックしておきましょう。郊外の場合、営業中のガソリンスタンドが簡単に見つからないケースもあるため、燃料切れを起こさないよう、ある程度給油スポットが点在しているような場所を選びましょう。
- 緊急時の対応:万一のトラブルに備えて、利用しているバイクショップの電話番号やJAF、任意保険などの連絡先はすぐに確認できるようにしておきましょう。
- バイク駐車できる場所の確認:例えば観光地などの場合、路面が砂利道だったりすることがあります。あらかじめ状況を把握しておくと、実際に場所に行ったときに駐車がしやすかったりします。GoogleMapの周辺の画像等をみることで、駐車場の状況などを確認しておくと便利です。
3-3.天候のチェック
ツーリング当日の天気予報を確認しましょう。また下記の点に注意しましょう。
- 降水確率:50%以上ならレインウェアは必ず持参します。出発時から悪天候の場合は無理をせず、予定を変更することも検討しましょう。雨の日のバイク走行は慣れていないととても過酷です。特に雨天のツーリングは気持ち的にもしんどい場合があります。
- 気温の変化:出発時や今現在の気温だけで判断せず、行くときから帰ってくるまでの気温の変化を気にして服装を選びましょう。簡単に脱ぎ着ができるように重ね着を多用するのがおすすめです。
- 風速:車以上に風速による影響はシビアです。特に向かい風や強い横風の場合、常にあおられる形になるため、バイクの挙動が不安定になりますので、その分神経を使う必要があるからです。
4.ツーリングを安全に楽しむためのポイント
4-1.走行時の基本ルール
バイクツーリングを安全に楽しむために、基本的なルールとマナーを守りましょう。
- 適切な車間距離を保つ:前の車両との距離を十分に取り、急なブレーキや障害物にも対応できるような間隔を保ち、走るようにしましょう。仲間とツーリングをする際も、一定の間隔をあけて隊列を組んで走りましょう。一般には千鳥走行と言います。
- 無理な追い越しはしない:追い越し禁止区間では絶対に無理はやめましょう。カーブや見通しの悪い場所で追い越すと、予期せず対向車が来たりするので、十分な直線距離が保たれているところで行うようにしましょう。この際も、車を驚かせないように急な運転は禁止です。
- 交差点では特に注意を払う:信号のない優先道路であっても、車が飛び出してくることもあります。また、交差点に差し掛かっているのに右折してくるような車も普通にいますので、交差点では必ず車が入ってくることを想定して、進行するようにしましょう。自転車にも気をつけましょう。
4-2.仲間とツーリングする際の心得
複数人でツーリングする場合、以下のポイントを意識することで、より安全に楽しめます。
- 走行ペースを合わせる:走行するメンバー全員の経験やスキルを把握して、高速道路や一般道ではどれくらいのスピードで走ったらよいか、走行する前に決めておきます。隊列については、基本的に先頭と最後尾にはベテランライダーがつき、2番目、3番目付近に初心者が走るようにすると、バランス良く走れます。
- 合流ポイントを決めておく:途中で道に迷ったり、信号待ちではぐれることは良くあります。そのような場合に合流できる場所を事前に決めておきましょう。
- 燃料状況もお互い知っておく:バイクによって燃費や燃料タンクの容量も異なります。今どれくらいなのか、給油した方が良いメンバーがいるかは常に気にして走るようにしましょう。
- 自分本位ではなく初心者をサポートする:初心者は自分のバイク操作にも手一杯ながら、みんなに合わせようと頑張ってしまい、ツーリングが楽しめないケースもあります。こまめに気にかけてあげることで、ツーリングが楽しい経験になるので、メンバー全員でサポートしましょう。
- インカムはできれば装備しておきたい:インカムの有無で意思疎通のしやすさが全くことなります。一番はチームで同じ機種を使っているとペアリングがしやすかったりしますので、2人以上で走る事が多い場合はインカムを検討しましょう。
5.まとめ:安全で楽しいツーリングを!
ここまで、バイクツーリング初心者ガイド:安全で楽しい旅の始め方について書いてきました。バイクツーリングは自由と冒険を味わえる素晴らしい体験です。しかし楽しむためにはルールを守ることが重要なのです。
- バイクの選び方や装備の準備をしっかり行う
- 無理のないルート選びとスケジュールを計画する
- 基本ルールを守り、安全運転を心がける
- 仲間とツーリングする場合はお互いにサポートし合う
初心者のうちは、とにかく無理をせず、短距離のツーリングから始めて経験を積み、徐々に長距離にチャレンジしていくことで、ツーリングの楽しさを無限大に広げることができるでしょう。