バイクのドライブチェーン、定期的にメンテナンスしていますか?
バイクを所有したら、その多くがチェーンドライブになると思いますが、チェーンドライブはとにかくメンテナンスが大事です。特に、ドライブチェーンのクリーニングと注油は乗り心地や燃費にもダイレクトに影響します。自分のバイクがチェーンドライブであれば、走行距離や期間を決めて、こまめにメンテナンスをしていきたい部分です。
今回は、バイクの駆動式に関してと、チェーンドライブのクリーニングと注油について、実際に作業手順をあげながら、書いていきます。
この記事は以下のような方に向けた記事になっています。
バイクにはさまざまな駆動式がある
始めに、バイクの駆動方式について、軽く触れておきたいと思います。一概にバイクの駆動方式といっても、バイクのタイプや、種類、メーカーによってもさまざまです。その中から、代表的なものをあげます。
スクーターに多い:Vベルト+プーリー
アクセルを開ければぐんぐん加速する、スクーターに多いVベルト+プーリーのタイプです。こちらは、基本的にカバーで守られているので、定期的な整備時くらいしか、開ける事はないと思います。それほど神経質になって、掃除をしたり、油をさしたりということも不要です。
ただ、Vベルトは永遠に使用出来るわけではなく、消耗品ですので、適切な走行距離や年数によって交換が必要になります。
一般的な駆動方式であるチェーンドライブ
先にあげたスクーター以外で、一般的なドライブ駆動がチェーンドライブになります。チェーンドライブは、①力の駆動ロスが少ない、②軽量、③コストが比較的安価、という点で、さまざまなバイクに採用されています。排気量も、原チャリから1000ccを超える大型バイクまで、広く扱われています。
但し、一方で、上の①~③のメリットは、ドライブチェーンの状態が適切で、メンテナンスがしっかりされている場合、という前提条件が付きます。この前提条件が崩れると、力のロスが生まれ、乗り心地が非常に悪くなります。
悪くなってくると、加速や減速時に、引っかかるような感覚があり、最悪の場合はチェーンが外れたり、切れることもあります。したがって、バイクを所有してから、私のような素人でも、気にかける必要があるのが、ドライブチェーンになります。
ハーレーなどのアメリカンタイプに多い、ベルトドライブ(スクーター以外)
ベルトといってもスクーターとは違って、クラッチ操作が必要ですので、分けて書いていますが、ベルトドライブのバイクもあります。チェーンドライブは、ドライブチェーンで動力を伝えますが、ベルトドライブは、ベルトで動力を伝えます。
ベルトのメリットは、①軽量、②低騒音、③ほぼメンテナンスフリーである点です。チェーンドライブは、金属製のチェーンを回転させて動力を伝えるため、大型バイクですと、太くて頑丈なチェーンになります。そのため、重量もありますし、油が切れたり、メンテナンスを怠ると、チェーンの走行音が大きいです。
一方で、ベルト駆動は、駆動自体の音が静かで、注油の必要もなく、チェーンドライブよりは手がかからない方式です。しかし、ハーレーなどの場合、ベルト自体がチェーンより高いので、仮に切れてしまったり、交換が必要な場合は、それなりにお金がかかります。ベルトも、バイク購入後に全く交換しなくて良いわけではなく、長く走る場合は交換が必要になります。
BMWなどに代表される、シャフトドライブ
チェーンでもベルトでもない、ドライブシャフト(棒)を回転させて、動力を伝える方式です。シャフトドライブのメリットは、①動力の伝達がよい、②騒音があまりしない、③基本メンテナンスフリー、④外からの汚れる要因である砂や埃の影響が小さい になります。
BMWのR1250GSなどが有名ですが、基本的に駆動部分がカバーされていて外からの汚れによる影響がほぼないのと、バイク購入者が定期的に注油をするという事がない(ハードルが高い)ので、メンテナンスフリーといっても良いと思います。この手のバイクは、ディーラー整備が必要になってきて、中のクリーニングやメンテナンスも行われます。
シャフトドライブはメリットづくしのように見えますが、一方で、重量が重くなる、値段が高くなるというデメリットもあります。バイク自体が高価になりますが、その分メリットが大きい駆動方式ですので、値段が高くなるのは仕方ないと思います。また、バイクとはそもそも趣味的な要素もあるので、良い物を愛着をもって長く乗れるのが良いと思います。そうした点で、シャフトドライブは優れた駆動方式だと思います。
ここまで、バイクの主な駆動方式について書いてきました。他にも、ギアで伝達するものとかもあるようですが、私自身見たことがないので、ここまでにしたいと思います。
ドライブチェーンのクリーニングと注油
ここからは、本記事のメインであるチェーンドライブのチェーンのクリーニングと注油について、書いていきます。
ドライブチェーンのクリーニングと注油の頻度
ドライブチェーンのクリーニングと注油の頻度についてです。一つの目安として、長距離ツーリング(500km以上)走る場合があれば、その都度、クリーニングと注油をした方が、性能が維持できます。長距離を乗らない(毎日の通勤とか)場合は、1ヶ月毎にクリーニングと注油をするのが目安になると思います。
また、雨や海沿いなど、悪条件での走行時は、走った後に、メンテナンスした方が、チェーン自体の劣化が避けられますので、できれば早めにメンテナンスしたほうがよいでしょう。油分がなくなったら、注油だけでもした方が良いです。
油分がなくなった状態で、チェーンを高回転させるのは、負荷がかかりますので、できるだけ油分は保っておきたいです。但し、きれいな状態でスムーズに回転できるのが一番ですので、注油するタイミングと合わせて、できればクリーニングも行いたいです。
後輪を浮かせる
バイクにセンタースタンドがあれば、後輪が浮かせられるので、浮いた状態にします。センタースタンドがない場合は、後輪があげられるような道具がありますので、参考にしてみてください。
それほど高いものでもないので、1つ持っておくと、チェーンメンテナンス他、ちょっとした作業の時にも後輪が簡単に持ち上げられるので、用意しておくと便利です。
古いルブや汚れの飛び散り対策を
まず、クリーニング中や注油時に、余計な部分に飛び散らないように、保護できるように紙を用意しています。家の敷地内とか、バイクの荷物が増えても問題ない場合は、トレーを下に置いても良いですが、基本的に荷物は少なくしたいと思うので、新聞紙はおすすめです。私は、新聞をとっていないので、画用紙を下にしています。
あと、クリーニング中に紙を手で押さえておくのは難しいので、マスキングテープなどを使って、固定と剥がしが楽なようにしておきます。
チェーンクリーナーをまずはチェーン一周かけて汚れを浮かせる
はじめに、チェーンクリーナーをチェーン一周吹きかけて、汚れを浮かせましょう。チェーンにはつなぎ目があるので、つなぎ目を目安にすれば、一周できたかがわかりやすいです。吹きかけたらしばらくまって、その後、チェーンブラシなどやウエスなどで汚れを取り除いて行きましょう。
クリーナーを適度に吹きかけて、流しながらが有効です。スプロケットも、ドライブ側は難しいかもしれませんが、後輪部分は一緒にきれいにしましょう。
クリーニングが終わったら、注油の前にウエスでクリーナーを取り除く
一通りクリーニングが終わったら、すぐにチェーンルブを吹きかけるのではなく、クリーナー剤が残っている可能性があるので、チェーンを回しながら、ウエスなどでクリーナ剤を拭き取ってください。
この時に、汚れも残っていれば、一緒に拭き取りましょう。そして、しばらく乾かします。(季節によりますが5~10分くらい)ドリンクでも飲んで、休憩しましょう。
チェーンルブを注入する
クリーニングが終わったら、注油します。油も多ければ良いと言うことではなく、オイルがたれるくらい注油するのではなく、油をなじませるのが大事です。目安としてはチェーンのつなぎ目から一周、チェーンのリングの隙間を狙って、さしていきます。一周回しながらさし終わったら、こちらも少しなじませた後に、余計な油分はウエスで拭き取りましょう。
油がしたたっていると、走行中に油が飛び散ってバイクの足回りが汚れる原因になりますので、結構しっかり目にウエスで拭き取っちゃいます。しっかり拭き取っても油分は残ります。以上でメンテナンスは終了です。クリーニング中も、チェーンのたわみ具合が極端に大きい場合は、張りを調整した方がよいので、個人で難しい場合は、ディーラーに相談しましょう。メンテナンス後、タイヤを手で回したときに、金属製の音がなく、軽く回るようになれば、しっかり注油できています。
こまめなドライブチェーンのメンテナンスが、乗り心地や燃費に影響しますので、ぜひベストなツーリングができるようにメンテナンスしておきたいものです。
ドライブチェーンのメンテナンスから解放されたいなら
ここまで書いたように、一般的なバイクはチェーンドライブ方式がほとんどなので、ドライブチェーンのメンテナンスは欠かせません。ドライブチェーンのメンテナンスにはお金も時間もかかりますが、ドライブチェーンのメンテナンスから解放されたい場合の方法が1つあります。
それは、チェーンドライブ以外のバイクを選択することです。例えば、ハーレーダビッドソンが主に採用しているベルトドライブや、BMWが採用しているシャフトドライブの場合、ノーメンテナンスではありませんが、チェーンドライブと比較すると、明らかに個人でのメンテナンスの手間がかかりません。
これらの駆動方式のバイクに絞って所有するのもありです。